ライス単独ライブ「己的好選 2008~2010」
10/9/12 19:30~ 京橋花月
出演:ライス/[ゲスト]ジューシーズ
待ちに待ったライスの単独ライブ。
2008~2010年のベストネタをやるということで、期待もひとしお。
というか楽しみにしすぎてわけわかんなくなってすっごい気持ち悪くなって今にも吐きそうな状態になってしまい(笑)、早く始まれもしくは一生始まってくれるな、と思うほど。重症だね!
でもはじまっちゃった。
時間通りに、19時30分。
- OPコント
- 「ピンク」
- 「生物の不思議な求愛行動」
- ~VTR 第一回単独ライブ「マフェ&バザバザ」より~
- 「お日柄もよく」
- 「エロイ」
- ~VTR 第二回単独ライブ「サボコ」より~
- 「ショップ」
- 「イメージ」
- ~VTR 第五回単独ライブ「ビリンバウ」より~
- 「それいけ!シロッペ」
- 「攻めまして日米」
- 「僕ら」
またきっとどこかでやってくれるしやってくれなきゃこちらが浮かばれないので、ネタバレされたくない人は見ないでくださいね。
このセットリストもって全国回ってくれるなら、アラスカだってついてきますよ。
オープニングコントは最近いろんなところでやってる関町ダンス。近場でいったらシュールキャバレエのラスト?
客席から狙われて撃たれる関町の体が段々リズムを刻みだし……。
これが一番最後のコントにつながるのが、単独ライブのおいしいところだね!
昨年十月、「鈴虫のお腹」と同じ構成。
つぎの「ピンク」はこの前9月のコントバトルG1でもやったそうで。
有名なバナナコントのピンクバージョンです。本当は色とりどりのはずの小道具がすべてピンクになっちゃった。
でもそっか、「小道具がすべて~」パターンはいろいろあるような気がするけれど、これだけはちょっと他と一味違うんだ。
タイトルそういうことかー、っていう納得がひかえてる。
その次流れた一回目の単独の映像は、二人ともが出演しているだいぶポップなもの。
スパゲッティゆでてるお湯に頭つっこんだり、顔でケーキをテーブルになすりつけたりする様子を「ポップ」といいきってよいのかはわからないけど(笑)
たった二年前のはずなのに映像の中の二人がとにかく若くて、客席から「かわいー」なんて歓声がとびかう。
……みなさん、ライスですよ?w
続いてのコントが「お日柄もよく」。
真夏の昼間の蝉の声から始まり、季節柄までもよく、といったところ。
誰もいない部屋の隅に一人腰を下ろす田所。そこに、突然。
「わっっ!!!」
「うあ、びっくりした!」
田所を驚かせてけらけらと笑いながら、部屋の主の関町が帰ってきて……?
……入り込みすぎてうわあってなったの内緒。
「せっかく来たのに誰もいないし」
「絶対どこにも行くなよ?」
田所さんは無駄な台詞を決して言わない。二回、三回繰り返された言葉がすっと最後に響いて意味を持つ。
笑顔で部屋を飛び出していった関町さんと、泣きそうな顔で駆け出した彼との対比。
何もかも覚めやらぬうちに鳴り出す怪しげな音楽。
そして一文字ずつゆっくり映し出される「エ ロ イ」のタイトル。
八年ぶりに故郷に帰ってきた関町を出迎える、幼なじみの田所。
「久しぶりだなあ、この街もけっこう変わっちゃったんじゃない?」
「えーたった八年だろ?全然そんなことないよ!」
「そっかあ」
しかし、懐かしいはずの風景をたどって歩く彼の目にうつったものとは……?
そして、第二回単独ライブ「サボコ」のおそらくオープニング映像を挟んでの後半戦。
まずは春の単独より「ショップ」。
ショップ店員知子ちゃん(仮)と爆弾魔(ボマー)をめぐる小さな恋の物語?
うそ、ぜんぜんちがうかも。
このコントはなんか、ライスにしてはポップな設定じゃないかな、と。
よくある携帯電話みたいな契約系の品物を扱う店での、店員と客とのやりとり。
でも扱う物が『時限爆弾』というちょっと現実ではありえないブツ。そこで生まれる常識はずれの言葉のキャッチボールや予想外の人間関係のドラマを、笑ったり楽しんだり、はっと驚いてみたり。
そんな設定から生まれてくる「ライスらしさ」ってひょっとしたら、男前過ぎる関町さんの声だったり、袖の長すぎる田所さんのスーツ姿だったり、ちょっと台詞を間違えちゃっても二人も客席もみんなでニヤニヤにこにこしちゃう一体感だったり、そういうだけのものだったりするのかな。
続いても同じ単独より「イメージ」。スクリーンが使えないとできないネタだからそうたびたびは見れないのかなあと思ってたらまた見れてうれしい!
田所から関町への拷問、という構図はなかなかわかりやすいから、その分かりやすさに乗っかって発想の独特さが光るよね、という。
田所S→関町Mなんて共有してるのファンだけじゃないのとも思うけれど、ここまでのコントを通してそういう感触は随所に現れていそうなので、うまく感じ取って楽しんでもらえてたらさらにうれしいな、なんて。
そして見覚えありの「ビリンバウ」、オープニング映像。
あのときも思ったけど、なんで最後爆発しちゃったんだろう。
だんだんと映像が抽象的になってる気がする。
ラストブロック、一本目は「それいけ!シロッペ」。
もうご存知の、っていうくらい名前は有名なんじゃない?ショップと同じ、いやそれ以上にポップでシュールでナンセンスだもんなあ……
というかポップさと残酷さのギャップを楽しむ、とそういうことかな。
主人公のケンタくんはサラリーマン。いじめっこ上司のウシダンプに毎日こてんぱんにされる日々。
そんな彼が毎回助けを求めるのが、未確認生命体のシロッペ。
シロッペは体内から便利な道具を取り出して、ケンタくんの窮地を救ってくれる。と、みせかけて……?
かわいいというかかわいくないというかなんだかとっても不気味なシロッペと、かわいいというかかわいくないというかなんだかとってもスーツがぶかぶかなケンタくん。
そんな二人のやりとりが少しずつ倫理を外れていって、なのに最後にはとてつもなく常識的なオチが待っている。
妙に現実に引き戻されて幕が下りる。
そこからの。
「攻めまして日米」。
タイトルみた瞬間に、わあっと。これ、あれじゃないの?って。
みんながなんども「もう一度見たい」と口にしていた「サッカー」と「戦争」のお話。
四人の主人公と、二つの、時間軸。
私たちにとって戦争とは、あの戦争しかない。
しかも日本対アメリカといえば無論のことになるわけで、各々の知識に差はあれど「負け戦」のイメージは誰もが共有しているわけで。
そんな戦争と架空の「日本対アメリカ」戦が交差する。
そこでは同じもの、言葉、出来事がまったく違う意味を持つ。
質素すぎると馬鹿にされた日の丸弁当が涙ながらに有難がられて、膠着状態を示す「ゼロ」の響きが敵の襲来を告げる。
そして、場外退場を宣告する赤いカードと同じ紙切れが、彼を戦場へと導く。
どちらも目的地が意味するのは、同じ「死」であるのに。
特攻を命じられた彼の行く先は決まっている。
それでも上官は笑顔で、最上級の笑顔で彼を送り出す。
敬礼一つ、空に飛び出していった彼の、蹴飛ばしたボール。
それが、ゆっくりと、ゴールに吸い込まれていく。
最後のコントは「僕ら」。
今までモノクロで映し出されていたタイトルが、これだけ色鮮やかな写真がついて。
公園で一人、ボールで遊ぶ田所。そこへやってきたのが近所のガキ大将である関町。
「なんだよお前、よそ者か?この公園は俺のもんだぞ?」
「そうだよ僕は、転校生だ。公園に『誰のもの』なんてあるもんか!」
火花を散らしあう二人。投げたボールの飛距離で勝負することに。
しかし、比べてみたらばそこには歴然とした実力の差。
圧倒的な力を見せ付けられあぜんとする田所。そうして結局は仲良くなってしまった二人。
いつか日本一のバッテリーを組もうと誓い合い、そうして月日は流れ……?
このコントは昨年十月の「鈴虫のお腹」より。見たことあったし好きな雰囲気のコントだったので、どうして展開もオチも思い出せないのかと悩んでいたら、それもそのはず。
だって、オチ、ないんだもん。
最高のバッテリーを組むことを約束した二人。毎日あの公園で練習を重ね、月日の流れたある日のこと。
「お、ひさしぶり!遅かったじゃん、練習しようぜ」
待っていた田所の誘いに首をふる関町。
「……もう、無理だよ」
「へ?無理ってどういうことだよ?ほら、やろうぜ!」
むりやり手渡されて関町が投げたボールは、力なく地面に落ちる。
「だから!もう無理っつってんだろ!無理なもんは無理なんだよ!だって、……俺、」
……病気に、なっちまったんだよ。
走りさる関町。一人残され、呆然とする田所。
また年月が流れた。
大人になった田所が、自分の息子とキャッチボールをしている。
「おっ!お前もなかなか強く投げられるようになったなあ」
パシッ
「おし、いいぞ!あいつを思い出すなあ……」
パシッ パシッ
「父さん昔は、こんな風にあいつとなあ……」
パシッ パシッ パシッ
「なつかしいなあ……」
パシッ パシッ パシッ パシッ……
「パシッ」、ボールをキャッチするグローブの音、その音が段々リズムを刻みだし……!
ラストのダンスで三十秒だけジューシーズがゲスト出演、KABUTO仕様のだまさんとギャング仕様のけんちゃんとKAT-TUN仕様のしゅーた。うわあっと盛り上がってわーっと拍手して、いつまでも止めたくなかったけどやっぱり終わりはきて、しばらく放心してしまいました。心がいつまでも帰ってこなかった。
彼ら自身がベストと銘打ったライブで、私自身は「『すごい』ライスが好きなのに『すごい』とこ見てないのに好きだなんていえない」とずっと思っていて、見ている最中一瞬でももやっとしたら終わりだと感じていたのにそれを全部ふっとばされてしまいました。吹き飛ばすどころじゃなく、文字通り、トラックに激突されたみたいにふっとばされてしまった。なにか衝撃がボディブローのようにがんがん効いてきて、どうしようもないみたいに立ち直れなくなった。
核だと感じたのはたしかに「お日柄もよく」と「攻めまして日米」の二本だったけれど、もしそれだけだったら意味なんて半分もなかった。それくらいセレクションと流れが重要で、そこに引き込まれてしまいました。よくわかんないけど、たしかに二人の関係性はとても異質なものが多かったけれど、たんにホモとかそういう言葉で片付けてほしくないよなあなんて思う。それだったら単に「今日のライブおもしろかったねえ」って言い合いながら布団に入って一瞬で眠りに落ちて欲しい。そのくらいがいい。
私がこんな風に書く、書いたことで一体何が起きるのか、それとも何か起きるのかなあ。
何も起きなくてもよくって、だけど「ライスに出会いたい」って思う人が一人でも増えて、そんな人が一人でも多くライスに出会うことができたらいいなって思います。
出会えるか出会えないか、いつ出会えるかというのは本当に、運みたいな偶然みたいな、でも絶対に「そうあるべき」ことだと感じます。
そして、私にとってそれがこういう形だったことは、きっといつまでも忘れないんだと思う。
ライスが、好きです。
10周年の記念ライブでも「攻めまして日米」をやってくれた