ライス単独ライブ「カヴィ」
2012/1/29 15:00/18:00~ 恵比寿・エコー劇場
出演:ライス
ライス8回目の単独ライブに行ってきました。
私が行くのは5回目。そう考えるとなんか不思議な気分。
まだまだライスは初心者のつもりだし、全然知らないことのがたくさんある。
今回も当日までの間に自分の中におそろしいハードルが用意されてるのに気づいてて、そのことがとてもこわかったんだけど、終わってみたら全くそんな心配いりませんでした。
すごい幸せな気分になったなー。こんないいもの見せてもらって、しかもそれが自分が一番好きな人たちだなんて。ファンじゃない見に来てる人みんなに自慢したかった!これ私好きな人たちだよって!
以下、ネタの概要にふれるので、今後どこかで見ることを楽しみにしている人は各自回避してくださいね。
まずはリスト。
コントタイトル、解説タイトルは私が勝手につけたやつです。
タイトルは今回示されなかったなー。本人たちの中ではあったみたいですが。
- OPコント「マラソン」
- OP映像
- コント1「『動き』ショップ」
- 解説1 「ヘリコプターに飛び乗るスタントマンについて」
- コント2「ヒトミとトモコ」
- 解説2 「ポテコについて」
- コント3「勇者と大魔王」
- 解説3 「RPG中の死の表現について」
- コント4「壺」
- 解説4 「壺が割れる音について」
- コント5「自殺ほう助」
- 解説5 「幸せの青い鳥について」
- コント6「殉職」
- 解説6 「死者を弔う鐘の音について」
- コント7「カヴィ」
- 解説7 「~年後という表現について」
- コント8「二人の研究者」
- 解説8 「檻について」
- コント9「排便」
- 解説9 「予備洗浄用ローリングペーパーについて」
- コント10「ヒトミとトモコ2」
まずはオープニングコントと映像。
「なあ、俺がもし一番でゴールしたら、結婚してくれないか?」
「え……、ううん、一番ってだけじゃだめ。もっと約束してくれなきゃ。結婚式はステンドグラスのきれいな教会で、挙げるのよ」
マラソン選手の恰好でスタート地点に立つ仁と、それを見守る彼女の関町。
スタートの銃声が響き、仁はスタートする。でも、彼はあらぬ方向へ。
「おおっと、ゼッケン182番、一人おかしな方向へ飛び出していった!」
……それから彼の姿を見たものは、だあーれもいなかったとさ。
オープニング映像は、ジャングルブックみたいなチンパンジー(関町)と人間の子供(仁)の交流を描いた絵本。
途中の吹き出しにちょこちょこローマ字文章がまじるんだけど、まったく読み解けないスピード。
コント1「『動き』ショップ」
店員の仁が一人働く店に、怪しげなピッチングフォームで入ってきた関町。
レジの前までたどり着いて、座る。仁が気づく。
「いらっしゃいませ。今日はどのようなご用件で?」
「新しい、『動き』が欲しいんです」
「かしこまりました。では今すでにお持ちの『動き』を確認させていただきますね」
関町のポケットを探り、いくつかカードを取り出す仁。
「ではお客様がお持ちの『動き』ですが、『座る』、『物をつかむ』、『ポケットに手を入れる』、それと……
少し長めのコント。ショップのコントといえば時限爆弾のやつを思い出すけど、あっちとは配役が逆。
店員仁さんのパントマイムの自然さと、関町さんのコミカルな動きの対比。
オチは笑いをとる、というよりはきれいにまとめたなーって感じ。
それで終わると、間のつなぎに、スクリーン上に文章が。コント中に出てきたスタントマンについての解説。
コント2「ヒトミとトモコ」
一人暮らしをしているトモコ(関町)の家に転がり込んできたヒトミ(仁)。
二人はもともと仲の良い友達らしく、「急に転がり込んじゃってごめんね」と謝るヒトミに対して「全然いいよ、私とあなたの仲だもの」と返すトモコ。
でも、ゲーム機に汚い手でべたべた触ったり、台所で散髪したりするヒトミの常識知らずな一面に、トモコは少しずつ不信感を抱きはじめ……?
基本は女の子どうしの掛け合い。おしゃべりしている中に、二人の共通の友人のアケミという子の噂話がでてきて「んじゃ私アケミやるからヒトミは私役やって」なんて、まるで漫才コントみたいな場面も出てくるんだけど、そこの入れ替わり立ち代わりのスムーズさはけっこうすごい。んで、そこからの強引な展開は、もしかしたら……けっこうライスっぽくない気がする。
んで、コントが終わるとまたさっきと同じように解説文が。
コント3「勇者と大魔王」
RPGゲームの中という設定。
勇者の仁が「だいまおう」を倒すと、だいまおうの隠していた宝箱から手紙が見つかる。
~ゆうしゃ は だいまおうのてがみ を てにいれた!~
そして読まれるその手紙。
「あなたがこの手紙を読んでいるということは、私が倒されたということなのですね」
「このような日が来てしまったことを残念に思っております」
そしてつづられていた大魔王の恐るべき真実。
魔王という言葉からかな、ちょっとカリカを彷彿と……個人的な感想で恐縮ですが。
こう、人情への訴えかけ方とかそういうとこがね。
コント終了後に解説文があるのはいつも一緒。なんか、コントの中の重要なポイントっていうより、「え、そこ?」みたいなとこの解説がのってる。
コント4「壺」
ご主人の大事な壺を割ってしまった使用人のキリシマ。誰にも見つかっていないと隠ぺい工作を図ろうとするが、そこに奥方が現れて……?
奥方と思ったら実は、みたいなそういう感じなのだけど、オチがさっぱりわからなかった(笑)
ここでかっこわらいという感じなのは実は理由があるので、トークライブの感想のほうに書きます。
コント5「自殺ほう助」
屋上で今にも飛び降りようとする一人の少年。そこに、
「ちょっとまて!」
一人のおじさんがやってきて?
これは設定がなんとなくライスっぽいなあという感じ。
前に「他人が作ったネタをやるライブ」ってやつで、仁さんがラフコンのために書いてた「ラーメンのまずい店」っていう発想に似ている、気がする。
似てるからどうだってことでもないのだけどね。
最後にあんなに悔しがるおじさんの背中には、ちょっと、ちょっと考えてしまうところがある。深読みか。
コント6「殉職」
ライスは殉職ネタが多いなあ(笑)
これはかなりひとネタで押し切ったって感じがするー!いいメロディ浮かんだから一曲作ってみました、みたいなね。普段からやれそうなネタ。
「もう俺は、だめ、みたいだ、最後に一つ、頼み、がある」
「いいぞ!なんでも言ってみろ!」
「これを……娘に」「よし、このロケットを娘さんに、だな」
「これを……妻に」「よし、この指輪を奥さんに、だな」
「これを……」「……まだあるのか?」
「TSUTAYAに……」
コント7「カヴィ」
ほぼサイレントコント。ハンカチがきっかけで偶然出会った女の子と付き合うことになり、結婚し、子どもができ、死に別れることになった男の、息子との衝突、葛藤、そして感謝をえがく。
それだけ、それだけなのだけど。
ライスの二人はこのコントを別名で呼んでたけど、それだとまるっとネタバレになっちゃうし、私は今回のライブの一番核みたいなコントだったよなあと思って、このタイトルで呼びたいなって気がする。
オチがあるだろうなって思わせといての、オチだよね。
あーほんとうまいなー。泣かせてくるんじゃねえよ、ラストあんななのに!!
コント8「二人の研究者」
これもライスっぽいなあ(笑)、よく思いついたな。って感心すべきはそこじゃなくて、思いついたことをああいう台本にまとめられるのがすごいし、ほんと言い方勝負のとこもあるのにきっちり笑わせてくるよなあ。
これも普段のライブでかけそうだなー。
コント9「排便」
タイトルどおりのくだらなさですwばかwww
ネタ自体はタイトルの行為をドキュメンタリー的に追うっていうそういうもうほんとわけわかんないくだらない感じなんだけど、ラストでこれは単独だけだろうね、ほろっとするオチがあって。
ほろっと、じゃないか、笑うべきところか。
でもさあ、これから死んじゃうって人のこと、やっぱ笑えないよ。
「なんだよーこの映画!クソじゃないか!……糞だと?
……文字通りの、クソ映画じゃねえか!!!ちくしょーこんなの10日も延滞しちまった!」
トゥルルル トゥルルル
「もしもし?ん、何、犯人のアジトが見つかった? わかった今いく!!」
コント10「ヒトミとトモコ2」
一人暮らしをしているトモコ(関町)の家に転がり込んできたヒトミ(仁)。
二人はもともと仲の良い友達らしく、「急に転がり込んじゃってごめんね」と謝るヒトミに対して「全然いいよ、私とあなたの仲だもの」と返すトモコ。
でも、ゲーム機に汚い手でべたべた触ったり、台所で散髪したりするヒトミの常識知らずな一面に、トモコは少しずつ不信感を抱きはじめ……?
というとこまでは二本目とまったく一緒。でもここからが違う。
コント中、二人の動きがふいに止まる。
「おい、関町、せきまち!」
「え……?仁?」
「関町、俺は今お前の精神に直接話しかけている。俺たち、さっきと同じコントはじめちゃってるぞ!」
「なんだって!」
「幸いなことにお客さんたちにはまだ気づかれてない。ここから強引に展開を変えるぞ!」
そんなとこから急展開を迎えるこのコント。
最初、二人の力だけでは展開の変え方を思いつかず、照明さんに協力を要請する。でもそれでもうまくいかず、音響さん、衣装さんにも協力依頼を。
みんなの力を結集して出来上がったコントの結末は……!?
一つひとつのコントの完成度がすばらしくって、なおかつオープニング含めた10本のコントの要素を一つずつ集めて最後のオチが出来上がってるというお楽しみ感もあって、ふふ、なんかすごかったなー。
妙なところにつっこんでるなあと思った幕間の解説文は、ラストに持ってく要素を抜き出していたらしい。だからちょっと不思議な感じだったのね!
……実はそれだけじゃなくて、幕間には他の秘密もあるのだけど。それはトークのレポに書くか。
とにかく満足感で、そのあとにはライスはうまいなあというのを思いました。大体、特に漫才師さんの単独ライブって全部新ネタだから掛け合いがまだうまく成熟されきってないというとこに不満があったりするんだけど、ほんとそういうのがない。みたいな。
あとのふわふわした感想は書きたくなったら書くし、なんかいいやあと思ったら書かないかもしれないです。とにかく、ほんとに幸せな単独ライブでした。
ライスのファンでよかった。
単独後のトークライブのレポートはこちら