09/7/25 神保町花月『月見草』

 『月見草』
 09/7/22~26 神保町花月
 総合演出:白坂英晃(はらぺこペンギン)
 脚本:冨田雄大/又吉直樹/神保町写楽(伊藤智博)
 演出:冨田雄大/又吉直樹/神保町写楽(伊藤智博)
 出演:[主演]ピクニック/[特別出演]ピース/LLR/オコチャ/枝村明子/工藤史子/伊藤真奈美(THEフォービーズ)/荻原由貴(ランニングホームラン)

オープニングはたしか、主演ピクニックさんと脚本家三人の紹介。
ずっと「神保町写楽」と紹介され続けた彼が仮面をとった瞬間、歓声がわきあがりました。
私ももちろん。
特に誰と予想していたわけではなかったのですが、まさか「できない子」の彼とは思っていなかったから(笑)

3つのお話を全部ピクニックさんが主演で行う、とあって、実際にコントタイトルのついたお芝居が3つあったのですが、どこを誰が作ったの?っていうのは始終疑問でした。
すべてのお話に共通する要素(同じアパートの一室、他のお話とかぶる演出、花火など)があったし、話の合間にはさまれるミニコントまでもが最後のお話に絡んできたからです。
1本目がオコチャさん、2本目が又吉さん、3本目が伊藤さんなんだけどね。
やっぱちょっとよくわかんないな。
話ごとに詳細を。

 └スーパーホワイトラブアタック!(みたいなテンションのタイトル)
とあるアパートの一室にいる一人の男。
彼は彼女を待っている。
しかし彼女は帰ってこない。
彼は今日こそ彼女と身体の関係をもとうと目論んでいる。
ミッキー人形相手にシミュレーションを繰り返しながら、彼の独り言、もとい一人芝居が続く。
ついに彼女が帰ってくる。
彼は迎え入れる。
しかし彼女は硬直する……
「誰!!??」
彼女は逃げ出す。
そう、彼はただのストーカー。

 └幕間
LLR福田とピース綾部の二人芝居。
どうやら二人は付き合っている模様。福田さんは女の子?
映画を見に行きたいのに、話を聞いて欲しいのに、すぐに自分のエピソードトークをはじめてしまう綾部さん。
男前度が異常。
「聞いて欲しい話があるんだ」、綾部さんが言うも、福田さんは聞くのを拒否。
「結婚してくれ」
福田さん、返事をせず。
そのまま二人は映画へ。

 └ある風景
アパートの一室、暗闇で電話をかける女。
彼女には13年連れ添っている彼氏が。しかし結婚する気はない。
「私もう三十だよ?なのにあいつは……」
彼氏は演劇をやっている。いつまでも子供心のままに。
彼女はついに別れることを決意し、実家へのバスを予約する。
最後までおどける彼に、彼女はついにきれる。「私の13年を返して!!」
彼は待ってくれ、という。
「本読みに付き合ってくれ。俺が最初に、お前のために書いた台本の」
彼女はしぶしぶ付き合う。
彼は途中から台本を読むのをやめ、思いのたけを彼女にぶつける。
「俺にもっともっと色んなものがあれば、お前を幸せにしてやれるのに!」
男と女は困ったように笑いながら最後の台詞を重ねて読む。
女は部屋から立ち去る。
‐男と女は別れるだろう
‐女はいつか男に手紙を書くだろう
‐二人は再会するだろう
‐その頃には男は大成功しているだろう
‐そして二人はいつまでも幸せにくらす……だろう

 └幕間
映画を見終わった福田と綾部。
あらためて「結婚しよう」、福田は「無理だよ」。「ホモっていろいろ難しいし」
二人はやっぱり男同士。
別れようという福田に対し、綾部は悟ったような表情で「わかった」という。
「でも、もし再会できたとしたら、それは運命だから」
そして二人は別れようとする。別々の方向へ歩き出す。
しかし綾部は見知らぬ女性に捕まる。「道を教えてください!」
説明し始める綾部、おかげで二人の距離は一向に離れない。
しびれを切らした福田が叫ぶ、
「別れくらい、ちゃんとやろうよ!!!」
綾部は振り返り、笑って、こたえる。
「ほら、運命だ」

 └はなび
老人と死神が登場。
一瞬のち場面はアパートへ。父親であるその老人と息子の会話。
母との思い出の一軒家を売り払いアパートへ引っ越した父に対し、息子は憤る。
彼はアパートで女の子とよろしくいちゃこらやっている父が気に食わない。
一緒に暮らそうと説得するが、父親は聞かない。
そのうち、父親の今の恋人である若い女性もやってくる。
息子の嫁もやってくる。
二人がけでの説得も、父親にはきかない。
とうとう追い返されて二人は帰る。
「本当のこと言わなくてよかったの?」女が問う。
そして始まる、花火。
‐息子が大きくなったら
‐あの一軒家は売ってしまって
‐この思い出のアパートに帰ってきましょう
‐花火のよく見える、この部屋に……
妻との思い出を抱きしめたまま、死神である女に老人は連れて行かれる。

父親の死んだ後、荷物整理のために再びアパートに戻ってきた息子夫婦二人。
「あれからすぐいっちゃうなんてなあ……」
荷物を運ぶためにきた引越し屋は、なんと綾部。
ついでに彼とつれそうことを決めた福田もお弁当込みでやってくる。
ゴタゴタしている間に隣りの部屋からやってきたのが、彼女に実家に帰られてしまったピクニック。
彼は老人の部屋で、彼女からついにきた手紙を受け取る。
狂喜する彼に首をかしげる夫婦の姿で、舞台はすべて終了。

特筆しておきたいポイント。
綾部さんはすごい。福田さんはブリッコ。
ほんとに女の子の役やったほうがはまるんじゃない?
今回出てた女優さんはみなさんとても印象が良かったです。
すごい見ていて気持ちがよかった。
あとオコチャさんすごいや。

花火がキーワードな今回の公演、ちょうど隅田川花火の日に見に行くことができました。
なんとなくタイムリー感がうれしかった。