カリカ単独ライブ「魔王コント」
2010/6/12-13 全3回 スペース・ゼロ
出演:カリカ/その他
終わった後からじわじわボディブローが効いてくる……
見てる最中、観た直後は正直途方にくれてしまった、というのが本当なのかも。
みんなおんなじこと思えばいいのに。
二公演をただただ見て、千秋楽おわって帰宅して酔っ払って酔いすぎて寝ちゃって朝起きて何も考えずにつらつら書いているので、章立ても何もかもめちゃくちゃだと思います。メモってなにそれおいしいの。
自分用ですが、それでもよければ記憶補完にでも……
感想はまたあとで。
暗くなる客席、鳴り響く、サイレン。
カリカ単独ライブ「魔王コント」、スタート。
ライブの内容メモ
偽オープニング
BGMはポルノグラフィティの「アポロ」。
新宿駅から会場であるスペースゼロまで、二人が歩く。
途中道を間違えたり家城さんが死んだりするけど、それでも歩く。
会場、到着。
単独ライブ、スタート。
第1章「スラム街~林景荘(りんけいそう)という男」
スラム街。倒れる一人の男。
その衣服をはぎとる二人の浮浪者。
衣服の取り合いになる二人の浮浪者。
そこへやってくる、新たな一人の男。BGMは演歌。
「林(りん)ちゃん!」
「何してるんだお前ら?」
「こいつの衣服を奪ってたところさ」
倒れる男の顔をのぞきこむ林景荘。
「おい……こいつ本当に人間か?」
「……え??」
「冗談さ!」
大笑いして二人から服を奪い取る林景荘。
「こいつは俺のもんだ」
スーツなんて着るの初めてだな、とぼやいて着物からスーツに着替える林景荘。
「なんだかなあ……魔王でも倒しに行っちゃうかなあ」
「行っちゃいなよ林ちゃん!」
「そうだよ、ほら長老も送別の宴を開いてくれるよ!」
「え?もう?」
地区の皆の前で魔王討伐を誓う林景荘。
魔王に殺された親の敵を討つために。
魔王によってこれ以上スラム街を増やさないために。
魔王さえいなければ、人は、無駄な死を遂げずに済むのだから。
***
宴も終わり人気のなくなった路地で目を覚ます林景荘。
「林ちゃん!起きておきて!こんなとこで寝てたらAIに食べられちゃうよ!」
目の前には仲良くしている浮浪者。
「大変だよ、今日この地区に魔王がやってくるんだってさ!」
「は?」
なんでも昨日からダライラマがスラム街の視察にやってきており、そのダライに会いに魔王はこの地区までくるらしい、と林景荘は告げられる。
「林ちゃんチャンスだよ!魔王を倒さなきゃ!」
「え?昨日の今日でそんなの無理だって!」
「あ、ダライが来た!」
有無を言わさずやってくるダライ、そして、魔王(家城)。
けしかけられて、魔王に必殺技をくらわそうとする林景荘。
そんな動きを気にもせず、ダライに力を見せ付けるため、隣の山をひとつ丸ごと消した魔王。
「ん?お前、今なにかしようとしたな」
魔王の部下が、林景荘に気づく。
「魔王様に何をしようとした」
剣を構える部下、おびえる林景荘と二人の浮浪者。
……観念する、林景荘。
「こ、こいつです」
友人を差し出す、林景荘。刺されて倒れる、浮浪者オコチャ。
「魔王なんて倒せるわけない!」
実際目にしたその姿に叫ぶ林景荘。
しかし、旅はまだ、始まったばかり。
オープニング
BGMはフジファブリックの「銀河」。
小さな女の子を挟んで座るカリカ二人。目の前にはグラスがみっつ。
みっつのグラスに水を注ぐ。
ひとつだけに粉薬もそそぐ。
二人ずつ席をはずし、グラスをシャッフル。
三人ともシャッフル完了、再び小さな女の子を挟んで座るカリカ二人。
順番にグラスを取る。グラスの中の水を飲み干す。
……倒れる、女の子。
笑いながら立ち去る、カリカ二人。
カリカ単独ライブ「魔王コント」、スタート。
あなたは魔王を殺せますか?
第2章「手に入れろ!タイガーバーム~第一の虎 怠惰~」
林景荘と、幽霊になったオコチャ。
「林ちゃん、俺一応恨んでるんだからね?」
殺された恨み言にまったく取り合う様子のない林景荘。
「あ、博士みたいな人がいる」
二人の視線の先には、スマートフォンらしきものをいじる博士。
「おーい、すいません」
博士に話しかけにいく林景荘と、三途の川へ旅立つオコチャ。
博士が教えてくれたのは秘宝の存在。
世界にまだ七頭だけ生き残っている虎、その虎を倒すとタイガーバームが手に入る。
タイガーバームを七つ手にすれば、何でも願い事がかなう。
「なるほど、『魔王を倒してください』と願えばいいんだ」
憤怒、強欲、嫉妬、暴食、傲慢、怠惰、色欲、の性質を持った七匹の虎、それらを倒せば願いがかなう。
「魔王よりは……虎のほうが倒せそうだ」
林景荘は虎を倒しに旅に出る。
***
林景荘の前に最初に現れたのは、やたら動きのとろとろとした虎(家城)。
「タイガーバームを出せ!お前を倒してやる!」
「ああ、もう、めんどくさい」
寝転がる虎。
「ここは、そういうのじゃないの。ダラダラゴロゴロ戦うっていうか…」
「食らえ、必殺技!!」
「やめてよ痛いよ!やめてやめて!」
-いい?ダラダラゴロゴロしながら、どうしようもない感じのことを言って、なんか、たたかってる二人のあいだで、こっちが勝ちかな、みたいなの、あるかも……
-はあ?
「もう始まってるよ?」
「え?」
「『中学生のとき、一回引っ越したんだけど。そのときから……なんかおかしい』」
「……そんなん知らねえ!食らえ、ひっさつ、」
怠惰の虎のルールを全く無視して、三回以上やってはいけない必殺技も繰り出して、林景荘は勝利する。
手に入れた一つ目のタイガーバーム。
……だが、身体が、苦しい。
第3章「もがき」
タイガーバーム、なんにでも効く万能薬。
「博士、じゃあ、タイガーバームを手に入れたら塗ってもいいんですか?」
「タイガーバームは一度封を開けると、ただのタイガーバームになってしまう。ただのタイガーバームが七つそろっても意味がない」
「博士、じゃあ僕、絶対にタイガーバームを塗りません!!」
***
「塗りてえ……」
林景荘はもがいていた。
三回以上やってはいけない必殺技を繰り出した身体は、予想以上にすっかり消耗しきっていた。
「ぬ、ぬりてえ……」
と、そこへ現れた一人の青年。
「俺はリッキー。タイガーバームを集めているのさ。お、お前、タイガーバームを持っているな!」
林景荘はうつろな目でそちらを見た。
ひょろひょろとした青年がこちらに襲い掛かってこようとする。
「うるせえ!」
バットで殴ると彼は簡単に倒れてしまった。……死んで、いる。
「え?……嘘でしょ?」
彼の鞄の中にはタイガーバームが六つ、入っていた。
林景荘は、七つのタイガーバームを、そろえて、しまった。
第4章「願い事」
-七つタイガーバームを集めて、虎みたいに吠えてね
博士のアドバイス通りに吠える林景荘。だがうまく吠えられない。
せっかく集めたのに願いが叶わないことに泣いていると、その泣き声がなんと虎の鳴き声になった。
「やった!」
どこからともなく聞こえる、そして集まってくる虎たち。
そして、現れた……
「お前の願いを叶えよう」
「、魔王」
何でも願いを叶えてくれる神様は、魔王だった。
「こちらが本業だ。お前の願いを叶えよう」
「え」
惑う林景荘。魔王相手に、あんな願いなど言えるのか?
「さあ、言え」
「ま、まおうを、」
「あ?」
まおうを、魔王を殺してください。
さあ、言えるのか?
「さあ言え、お前の願いは何だ」
「まお、まおうを、」
さあ、さあ……
「オコチャを生き返らせてください!!」
……たやすい御用だ。
魔王はタイガーバームとともに去っていった。
「ねえ、あなたなら言えますか?
魔王に死んでくれって。
魔王に『自殺しろ』だなんて、あなたなら言えますか?
言えないですよ、言えなかったですよ!
……あなたは、魔王を、殺せますか?」
第5章「伝説の剣~カリカ~」
魔王を倒す方策を見失った林景荘。
歩いていると、また不思議な男に出会った。
「すみません、あなたは物知りですか?」
「はい、あだ名が『物知り』です」
物知りが教えてくれたのは、何でも切ることのできる「伝説の剣」の存在。
「南の方に長寿の国があって、そこに伝説の剣はあるんです」
「へえ」
……これさえあれば、魔王を切ることができるのかもしれない。
「その伝説の剣、抜いたもの、誰もいない」
物知りは立ち去った。
到着した南の国。寝転がる王様風情の男の横に、たしかに、その剣はあった。
従者に起こされ目を覚ます王様、剣を抜きにやってきた林景荘を、歓迎してくれる二人。
「ちょっと待って、抜く前に姫を呼んできましょう。剣を抜いた者にはわが国の第一王女を妻に差し上げるというのが、この国の決まりなのです」
「え!剣だけじゃなくて奥さんまでいただけるのですか!」
二人がいなくなった隙にこっそり挑戦してみる林景荘。
なんと、あっさり、抜けてしまう剣。
「ええっ!?」
王様が戻ってくる。林景荘は剣を戻して、知らんふり。
ところが、王様が連れてきたのは……
恐ろしいほどにブサイクな姫だった。(もちろん家城さん)
-さあ青年よ、そこに刺さっているのは伝説の剣。しかし伝説の剣とは、何でも切れるから伝説なのではない。
-その剣はいつでも、物事を始めたときの初期衝動を呼び起こす。そのような力を持つからこそ、伝説なのだ。
-さあ青年よ、剣を抜け。
-その剣の名は、「カリカ」
「そなた。剣を抜きわらわを虜にしてみせよ」
「(こいつブスのくせにすごい上から…!)え、あ、はあっ!抜けません!」
「そなた、ふざけておるな。わらわがまずキスをして本気にさせてやろう」
「(冗談じゃねえ!)嫌です!」
「なぜ?」
「それはお前がブサイクだからだ!!」
姫ゆえにブスともブサイクとも言われたことのなかった王女。
言葉の意味も知らずに王様、そして従者に問う。
「お父様、ブサイク、ってなに?」
問われた二人は次々に自爆する。
残されたのは、林景荘と王女、二人だけ。
林景荘は剣を抜く。
そして王女を刺し殺す。
剣を手に入れた、林景荘。
***
-剣を手に入れた僕は、魔王を倒すために、ひたすら歩いていた。
-雨が降っていた。梅雨だった。
-ぱたぱたと足音が、聞こえる。
「林ちゃん、死ね!」
「え?」
僕は生き返った、自分が生き返らせたオコチャに刺し殺された。
「おあいこ!おあいこ!おあいこ!」
それはもう執拗に、何度も、何度もなんども。
「おいおい、おあいこっていうんなら、生き返らせるとこまでやってく、」
-これだから梅雨は嫌いだ。
-……死んでしまった僕、
-……水の音がする。
第6章「まだ死ぬわけにはいかない」
「あれ?ここはどこだろう?」
目を覚ました林景荘は、さらさらと流れる水の中州にいた。
「あっちに渡りたい……でもあっちに渡っちゃダメな気がする。こっちに帰るのがきっと正解なんだ」
振り返って岸に飛びのろうとしたその時。
「パチパチパチ」
拍手をしながら立ち上がる、……変態。
水泳帽をかぶり目が吊上がり、オムツからにょきっと出た生足には白のハイソックスを履いている。(もちろん家城さん)
「気持ちわる!」、思わず叫ぶ林景荘に、「そんなこと言わないでくださいよー」と答える変態。
「いいですか、あなたはすごいんです。大抵の方は本能の赴くままに向こう岸に渡ってしまうんです。そしてそのまま、さようなら。ここは世界で一番有名なかの川、どちらかに渡ればあの世行き、どちらかに渡れば現世に帰れるんです」
「あなた、誰ですか?」
「私は、あなたのように『どちらに渡ればよいか惑った人』を導く案内人。邪鬼、と申します」
「では邪鬼さん。あなた、馬鹿ですね」
-大抵の人はあちらに渡ってさようなら、そう言いましたよね。
-だとしたらこちらに帰るのが正解じゃないですか。
わなわなと震えだす邪鬼。「ちがう、そんなこと、言ってない……!」
「いやあなたは言いました。あちらに渡ったらあの世、だってね」
こちらに帰ろうとする林景荘を止めにかかった邪鬼、しかし直前でひらりと身を翻す。
あれ、と、動きを止める林景荘。
「もしかして……」
「邪鬼さん、あなた、今笑いませんでしたか?」
「笑ってません」
「私を本気で止めようとしたら、もっとできたはずでしょう?」
「……」
「あちらが正解なんじゃないですか?」
林景荘を迷わせる邪鬼。基本的に立ち止まった人は現世に戻すといい、そのくせ正解を告げる前に死んでしまう。
途方にくれる林景荘。そしたらただの死んだふり。
「……ふざけんなよ」
「もう!僕はただあなたともうちょっと遊んでいたいだけなんです!」
林景荘も邪鬼を試す。
邪鬼を片方の岸に押しやり、彼が死んだのを確認してから「それなら反対」と、もう片岸へ……
「……ざわざわ、ざわざわ」
勝ち誇ったように死んだふりをやめる邪鬼。
しかし彼は、いまだ岸に渡らず平然としている林景荘の姿を見て、凍りつく。
「へへ、こうなることを予測して、渡ったふりをしてたんだよ!」
「お、おまえ……!」
「よし、こうなりゃあっちが正解だ!」
林景荘は力強く、向こう岸に飛び乗った。
「あーあ」
邪鬼がうなだれた。
「三途の川の住人がそんなとこ渡ったからって死ぬわけないじゃないですか」
スポットライトに照らされる林景荘。
「あーあ、僕は本当にあなたと遊びたかっただけなのに」
天から林景荘へと、迎えの声が降り注ぐ。
「あーあ、結局、マニュアル通り、だ」
邪鬼は最後に呟いた。
***
「……林景荘」
魔王が彼に呼びかける。
「はい」
「お前は死んだ」
「はい」
「もしお前が魔王の手下となり、人間を苦しめ虐殺することに協力するというのならば、お前を生き返らせてやろう」
林景荘は躊躇いもせずに答えた。
「はい、魔王様。よろしくお願いします」
コントオーバー。ジ・エンド。
これにて、魔王コント、終演。
偽エンディング
-本日はカリカ単独ライブ「魔王コント」にご来場いただきありがとうございました。
-主人公である林景荘が早めのリタイアを宣言したため、これにて第一部は終演とさせていただきます。
-休憩を挟んだ後に第二部をスタートさせていただきますが、普通のコントライブとなりますことをご了承ください。
コメント
久々にコメントを残させていただだきます。
いやー、蘇りますねあの光景が。
力作の完成、楽しみにしております
あ、ちなみに『林景荘という男』のBGMは『夢芝居』ですよ。
今回も選曲は秀逸でしたね(『ファイト!』やら『糸』やら)
…帰ってから独りになってから口で鼓を叩いたのは私だけでないと信じたい
>>たいらさん
お久しぶりです!会場で見かけたのにお声かけそこねました。
お詫びライブにもいらっしゃってましたよね?あれ?
いあー
とりあえず忘れたくない!と第二部もがんばってはみたんですが……なんだか魔王に逃げられてしまいました(笑)
捏造ばかりですみません!
魔王コントのレポと感想であわせてたぶん二万字くらいになるので、まとめて卒論として提出したいくらいの所存ですw
BGM情報ありがとうございました!追記しちゃいました。
お下品婦人のテーマソングが忘れられません。糸も。中島みゆきすごい。
とかく、音の使い方が印象的で派手で、知らない曲だらけだったのに今でも鮮明によみがえります。すごいなあ。
口鼓やっちゃいましたかwあれはやった方多そうです……
友達は「家城さんのドレスみたいなのをこっそり買って着ようかしら」と呟いていました。
いろんな方面に影響力の強いライブだったようですw
ああ、楽しかった!