『ボクノカラダ』
以下あらすじとか感想とか。
主人公の家城さんが自殺しちゃうとこからはじまるお話。
ほんとに友達もいなくて生きる意味もよくわかんなくって生きてるのがめんどくさくなって……って感じで自殺しちゃうんだけど、なぜだかあの世にいけなくって、自分の部屋に留まったまま。
そしてあらわれたのが、三人の幽霊。林さんとガリットチュウの二人。
彼らは家城さんが死んだことに大喜び。
なぜなら魂の抜けた家城さんの身体を使って、いろいろやりたかったことができるから。
この世界のルールでは、幽霊は自分の死んだ部屋から出ることができない。そして、幽霊が二人同時にものに触ると、そのものを動かすことができる。
三人は家城さんの身体を動かして、今までやりたかったことを次々とやりはじめる。
家城さんが死んでないことにして、現世の人間とのかかわりまで持とうとする。
設定としては、もう、異次元だと思ったほうがいいよね。
家城さんが自殺してから、しゃべらなくなっても、腐敗臭がし始めても、誰も何も疑わない。普通に日常がすすんでいく。
そりゃ「そろそろ腐ってきたなあ」「骨になるまで使ってやる」みたいな表現はでてくるんだけど、まるで世界が違うんだ、と納得しないとやってられない。気持ち悪い。
幽霊達は現世にそれぞれやりきれない未練を抱えていて、それは決して解決されない。
一番最初に死んだ福島さんは、友人の借金を肩代わりしたあげくの自殺で、その後に自分の両親までもが借金を背負いきれずに死んだことが明かされる。
二番目に死んだ林さんは、働きすぎでの過労死。学生時代から好きだった女の人が同じアパートに住んでいるので追いかけているんだけど、叶わないどころか逃げ出されて終わる。
三番目に死んだ熊谷さんは役者を目指していたんだけど、お金のなさからくる辛い生活で死んだようなもの。
最後に死んだ家城さんだけが、救いを残しているように見える。
「誰にも必要とされない」と言っていた彼が、彼の母親からの留守電を聞く。
母親は「心配している」といい、「野菜をおくったから腐らせずに食べなさい」と言い残す。そして彼は腐りかけた自分の身体を動かし、「最後にこの身体を使ってやりたいことがある」と言う。
他の三人はそれに応じ、彼ら幽霊四人はその野菜でカレーを作る。
カレーを作って、腐った身体に食べさせる。
そして口々に、「おいしい」と言う。
幽霊が味を感じることは出来ないのに。
なんだろうなあ。
彼らは翌日成仏されることが決まってるんです。つまり、幽霊としての生も終わるということ。
お話の中では「未練がなくなったら成仏されてもいい」って言ってた彼らが、未練なんて何一つはらさないうちに成仏されてしまうんです。
その報われない気持ちを、家城さんのカレーにたくしている。
カレーを腐った身体に流し込むことで、感動的な、納得できる形に落とし込もうとしている。
でも決して何も解決はしていない。
家城さんの両親だって、息子が死んでいることを知らない。
かなしいな、と思いました。
なくしたものが多すぎる。永遠に取り返せないもの。
家城さんは最後に一つだけ、「自分を必要としてくれてる人」を取り戻したように見えて、彼はただ気づいただけです。そういう人もいるということに。
結局彼は無くすだけなんです。
うーん。
お芝居じたいはすごく面白くってたくさん笑って、とっても楽しかったです。
だからこそいろいろかんがえたくなっちゃったなあ。
コメント
コメントお邪魔します
私もラストシーンはすごく哀しくなりました
意図と違うのかなとも思っていたので
似た感想を見つけてうれしくなって書き込みました
次の記事楽しみにしてます
>>はじめましてさん
コメント、ありがとうございます!
ラストはかなしかったですよね。
けっこう笑う場面が多かっただけに、意図については私もけっこう考えてしまいました。
カリカも犬の心も好きで、いろいろ考えることの多いお芝居だったので、感想ちゃんと書きたいと思ってます。
この記事に追記して書きますね!